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天使のナイフ(薬丸岳)

少年犯罪に関する社会派ミステリ。

少年法における過剰な加害者救済に対して、肉親を殺された側の慟哭を痛烈に描いている。理不尽に不幸を被っているのは明らかに遺族側でありながら、何故か世論に攻撃されるというおかしな現実に対する問題提起として秀逸。
更にそこにミステリ的ギミックを絡め合わせることで、エンターテイメント性も含められており、読ませる力も強い。

ただラストの展開に関しては、帯でやたらと衝撃のラストだよーということが強調されていた為に、完全に身構えて読んでしまった上、そのどんでん返し事態も物語を根底から覆すようなものでなく、いかにもお手本的な範囲に留まっていたのもあり、素直に楽しめなかった部分もある。
これネタバレの一種だよね。興味惹かないと売れないから仕方ないとは言え。

テーマの「贖罪」という言葉を聞くと、判決に引用された事で有名な歌謡曲・さだまさしの「償い」を思い出し、決して容易には成せない行為の重みに押し潰されそうになる。
なんか免許の更新の時にこの話されるけど、話聞くだけで涙腺緩むから勘弁して欲しい。

なんでこんなのばっかり読んでるかって言うと、父親の趣味だからだよ。これと下の死亡推定時刻の2冊を一緒に薦めるってのはいいセンスだと思った。
天使:被害者(検事)側から加害者(弁護)側を敵視
死亡:加害者(弁護)側から被害者(検事)側を敵視
でちょうど対比されていて、どちらか一方が絶対悪であるとか、そんな単純明快で偏った思考に陥らないようになっている。単独でもこの辺は割と考えて描かれてるんだけど、2冊合わせればよりよく分かる。
ほんとにそこまで考えて薦められたのかどうかはしらない。
  1. 2009/06/07(日) 19:50:56|
  2. 小説
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