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フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人(佐藤友哉)

脈絡もなしに自慢すると、センター現代文は98点でした。純文学の意味は大抵理解出来ません。


フリッカー式は中二病の感漂うミステリ。これもメフィスト賞。

主観的判断だし抜けもあると思うけど、

主人公が好意的に捉えているもの
・佐奈
・ギター
・洋楽(他人が聞くのは嫌がる)
・冬子
・シルバーのメルセデス
・唯香

主人公が嫌悪・批判的に捉えているもの
・デブ
・不安定な場所
・幽霊病院への人々の対応
・マニュアル車
・感情や人格を書き換えられない馬鹿
・痴漢
・チョコミント以外のアイス
・女の声
・老いぼれ僧侶
・突き刺しジャック
・オタク
・泣く事による解決
・怯えた女

と、嫌いなものによる自己主張が好きなものの2倍程度に及んでいる。至るところで物事に対して斜に構える様子には悲しみを覚えずにはられなかった。
これは一口に中二病と言っても口当たり良く格好良いものばかりでなく、負の面を大いに含んでいるという、中二病の齎した功罪をありのままに描いているのだろうか。
いや、自分を特別視し社会を穿つ姿勢が中二病であって、世間一般においてはこれが正しい姿か。無駄に格好付けたファンタジックな妄想は邪気眼として区別されている節があるし。

この中で興味の大半が女絡みなのは見ていて辛い部分。性欲と中二は相容れない要素だと思ってるんだけど、ずれてるんだろうか。
のっけからヒロインの可愛さ描写や身内崇拝に走った時点で、かなり拒絶反応を示してしまう。主人公がオタクを見下すキャラな割には、作品自体からはオタク的な雰囲気が滲み出てるように思うんだ。これに関しては彼女が早々に退場してくれたのでかなり救われた。

復讐が当人に対してでなく、彼らの娘を誘拐するという手段によって行われて、その理由について主人公はひたすらに目を背け続ける。これについては、レイパーには死すら生温いという思考に基き、好きでやってるんじゃないと主張するだけで、それなりに体裁は取り繕えるわけで、ならばそれは意図的に行われているはず。
ここは物語の重要なファクターだろうと思ってたのに、オチで種明かしされると「俺は踊らされていたのか!」って驚いてた。そこ気付いてなかったのかよっ。
狂ってるとか壊れてるとか言えば聞こえは良いけど、単に目の前にデータがあったから自分で思考せずに流されただけで、下衆としか言いようが無いような……。
加えて事件の根底に流れるものがいき過ぎた処女崇拝だった点でも、単純に嫌悪感が先立ってしまったしなー。うーん。

その辺を除いて、そこそこに驚愕の事実が次々に明らかになっていくラストはいかにも現代ミステリ的で、予定調和ながらも満足感はあった。

文体としては、純粋に格好良いと思う部分と、鬱陶しいと思う部分が6:4ぐらいで混在してる。どちらかと言えば好きな方。例えば西尾維新だと割合が逆転する感じ。
中二はストーリー性の中で発揮してくれれば良いので、日常的にくどくどとセンスを主張するのは余り好まない。スカした表現はここぞという時に使っているからこそ痺れるものだと思う。


そんなに嫌いじゃないんだけどなんか批判的感想だ。
まあいいや。別作品に期待することにする。
  1. 2009/06/17(水) 01:25:39|
  2. 小説
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