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今更コミックギア感想

買った以上は感想書かないと損みたいな謎の衝動に突き動かされて、書き辛い面があったり散々各方面で言われてるのと同様の感想だから特に意味は無かったりするけど、敢えて。



コミックギアは雑誌の連載陣が全員同一の仕事場で描くという、ヒロユキ提案の新しい手法を用いた漫画雑誌。でも実は雑誌じゃなくてアンソロジー。

とりあえずこれ。各漫画のコマ数を数えてみた。比較対象として現ジャンプ連載陣中最も内容が無い漫画として名高いBLEACHも数えてみた。
見開P数 : 純粋な見開きP数(必然1回に付き2P)
準見開P数 : 複数コマを用いた見開きP数
1コマP数 : 準見開きP数 + コマ=ページとなっているP数
gear.gif

恐るべき事に、1Pの平均コマ数は全ての漫画において2.5~3.5コマで、雑誌全体で総合すると3コマ。これは最近のBLEACHの75%という脅威的な数字だ。
また全ページ中の見開きの割合は全体で20%にも及ぶ。これも週刊連載で言えば、雑誌中の全ての漫画が見開きを2回用いるという尋常ならざる事態。
そもそも雑誌丸々一冊のコマ数を数え上げるのが大した苦痛でない時点で何かおかしい。

とにかくびっくりするほど内容が無い。
別に見開きは効果的に使ってるなら全頁見開きだろうが4P見開きだろうが文句は無いんだけど、この場合何でも無い場面で無意味に見開きだから、本当に強調したい場面の時どうするんだと思う。

確かに、表紙裏でヒロユキが「キャラの魅力」と「読み易さ」に拘ったと語っており、ストレスを感じない漫画を意識している事は分かるが、ここまで行くとストレス以前に全く何も心に残らない。ストレスを与える漫画の方が、人の感情を揺さぶっている点でまだ価値があると思う。
興味持ってない人に流し読みさせるのが目的とかならともかく、こんなマイナー誌相当な漫画オタしか手に取らないだろうに、一体誰がこのコンセプトに付いて行くというのか……。

冗談抜きで「コミックギアを読む時は部屋を明るくして出来るだけ離れて読んでね」という注意書きが必要に思える。画面が把握出来ないから。


前置きはこれぐらいにして各漫画についてひとことずつ。

スーパー俺様ラブストーリー(ヒロユキ)

不器用なラブコメ。
珍妙なタイトルは一周回って良し。
超金持ちで超出来る男だけど、女の子とまともに話せないという主人公のキャラは、恋愛的観点でプロレタリアートの人間の共感を誘えるので、嫌味ったらしさが解消されてる。雑誌目標の「魅力的なキャラ」であるかどうかというと厳しいが、そんなに悪くない。
ヒロインの方は何の変哲も無い黒髪ロングで、見開きで登場したところで一目惚れの説得力に欠ける。男喋りだから個人的評価は高いが、でも結局ToLoveる展開だったのでとても残念な事になっていた。


マシンガンソウル(じゅら)

武器使えない傭兵アクション。
リアリティ重視かと思いきや、銃撃による負傷を根性論でカヴァーしてしまうほどに主人公がすげー頑張ってるけど、傭兵なりたい!だけじゃ説得力不足で感情移入出来ない。


大魔王ザキ(若林稔弥)

悪人主人公のファンタジー。
ただ主人公が悪いだけという、何処に行こうとしているのか分からない漫画。
おじいちゃんのツンデレが魅力なのか。


ゴーストラッシュ(ユーゴ)

潔癖症の対霊バトル。
主人公はもっと突き抜けたキレ方をしても良かった。何にしても俺様と大魔王とキャラ被り気味なのが辛い。
あとはS主人公がMヒロインを虐待する事で悦びを得る人を引き込む為に、不快に思われないラインを見極めるのが重要かも。


GoodGame(友吉)

eスポーツ普及漫画。
一番有りだと思ったのはこれ。
パンチラはいただけないけど、可愛らしい言動は全部打算で実はドSのヒロインが個人的に良かったってのは置いといて……。
プロゲーマーという職業はゲーム好きなら少なからず関心を持っているはず。何千何万に1人の才能と努力が要求される、特に生産性の無い娯楽って点で一般のスポーツと何ら変わる所が無いのに、日本ではやたら蔑まれるのは理不尽だし。取材に基いてディープに展開すればきっと興味深い漫画になる。
ただし、実際ゲームをやる場面でオリジナルのゲームを提示したくせに、内容について表層を上滑るだけの説明しか為されず、全く主人公の凄さが伝わってこなかったとか、そもそも連打の才能とかじゃなくゲームの超絶的才能って万能過ぎるんじゃないかとか、問題は色々とある。
主人公が共感を誘えるように彼女いない歴=年齢でニートのダメ人間にするってのは俺様と同手法だけど、正視に耐えうる画面にする為にイケメンにならざるを得なくて悲壮感が漂わないのがファンタジーだ。


ヒヨコと道化と不思議の町と(とりねこ。)

少女漫画的メルヘンファンタジー。
個人的にそんなに好みじゃないが、とりあえずほのぼのする。
世界観に大きな可能性は見えるので、今後の展開でそれを生かして行ければ有りかも知れない。


デスハート(佐藤ユーキ)

生き死にの懸かったラブコメ。
設定だけを見たときに一番惹かれるのはこれなんだけど、内容の無さがヒロユキに迫る勢いで、これだけページがあっても、設定から予想される以上の展開が無い。
そんだけ数撃って尚当たらないなら好い加減諦めて良いと思うけど、そういうわけにもいかないんだろうね。


アシュラ(櫻井マコト)

担ぎ上げられギャグ。
これ系の展開はエリートヤンキー三郎やら、ちょっとずれるけどデトロイトメタルシティやらで遣り尽くされている感がある。強いて言えば女主人公は独自性だが、むしろ制約にしかならない気しかしない。


プリンセスサマナー(九品そういん)

萌え系でカードバトル。
カードに関して厳密な独自ルールがあるわけでもなく、そのまま有名所から流用してるだけなので、飽くまでカードは補助手段として人間関係中心に描くのかと思いきや、そうでもないようで不安。
まあ遊戯王も社長がすごいぞカッコいいぞーと言ってる時はこんな感じだったけれども……。



総じて
まず展開密度を今の倍にした上で、細かい部分に手直しを入れれば、ギリギリ漫画として成立して、オタ系の雑誌の巻末辺りに載ってても良いかも知れない、と思えるのが「GG」「俺様」。未知数が「ヒヨコ」ぐらい。
バトル系はこの内容の無さだとエアギア並の画力無しには立ち行かないと思うんだけど、流石に無茶だ。

どうもヒロユキが統括する事によって全体的にヒロユキセンスが蔓延して、通常雑誌以上に没個性が激しくなっている。ヒロユキ漫画大好きなら読んでも良いかも知れない。でもそれならやっぱり実体験に基いて描いてる(はずの)ドージンワークとかを読んだ方が……。
コンビニに並ばないからまず立ち読み出来ないし、これに600円も出すのは辛過ぎる。

結局ヒロユキは何がしたいんだろうか。採算取る気あるんだろうか。単行本出すつもりなんだろうか。
WEB漫画連載でヒロユキの趣味ですって言われたら大納得するのに。見開き無駄遣いしてもあんまり紙面勿体なくないし。

一応、編集の存在って大事なんだなーってのと、人気雑誌に載ってる漫画家ってすごいんだなーって事を再確認出来たから読んだ価値はあったかな……。
漫画って作劇やら作画やら台詞回しやら演出やらコマ割やら、とんでもなく多岐に渡る才能を全て要求する恐ろしい創作物だと思うんだ。アニメなら何百人がかりで作るところ基本一人で全部やるわけで。


という訳で、第2回は無い。
オワリ。
  1. 2009/09/06(日) 19:15:37|
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  1. 2009/09/07(月) 03:38:14 |
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